現代を舞台にした韓国ホラーです。
ちょくちょく話に聞くで気になってみてみました。
最近のモキュメンタリーものは、プロの取材班だけじゃなくて、収益を得ている大手のyoutyuberから、ここに出てくるような一般人に近い配信者まで、より観客に近い主人公が多くなってきましたね。
映像機材もドローンやハンディカメラ、定点カメラと様々な視点を用意することでよりカメラワークが面白くなってきました。
特に「コンジアム」は、「噂の廃墟を訪れる」というオカルト番組の大定番を、駆け出しの配信者たちが行うというもので、実際の視聴者の立場と、その裏側を知る配信者の両方の恐怖を味わうことができます。
あらすじ
YouTubeで恐怖動画を配信する人気チャンネル「ホラータイムズ」が一般からの参加者を募り、コンジアム精神病院への潜入を計画する。
主宰者ハジュンを隊長とする7人の男女は、いくつものカメラやドローン、電磁検出器といった機材を現地に持ち込み、深夜0時に検索を開始。
100万ページビューを目標に掲げるハジュンの演出も功を奏し、サイトへのアクセス数は順調に伸びていく。
しかし院長室、シャワー室と浴室、実験室、集団治療室を探索するうちに、ハジュンの想定を超えた原因不明の怪奇現象が続発。
やがて悪夢の迷宮と化した病院内を泣き叫んで逃げまどうはめになった隊員たちは、世にもおぞましい
映画『コンジアム』 の真実に触れることに…。ーーーーーー公式サイトより
※以下よりネタバレを含みます
所感
個人的にはもっと背景を作りこんでほしかったな~~、もったいね~~~と。
精神病院、院長失踪の謎、精神病患者の集団自殺など要素はてんこ盛りなのに、それを全く取り扱うことなく終わってしまったのはもったいない。
冒頭のパリピ時間の10分、いや数分でもそっちに割いてくれたら…と思わざるを得ない。あの水遊びのシーンいるか?
ただ役者の演技はめちゃくちゃよかった。指示通りの動かない実行班にイライラする隊長とか、恐怖で呼吸が乱れるとか、単純に叫ぶだけでもめちゃくちゃリアルだった。韓国映画って泣くシーンをとっても顔が崩れることをいとわずに号泣するから、観客の心も打たれるよね……
なんだかんだ言いましたが。冒頭のパリピシーン。あれも本人たちがどういう人物かを表すのだと思えば必要なシーンではあるんですが。食べ物を使ってゲームをするとか、ヒエラルキーが低そうな人をいじるとか、普段のしょっぱい視聴者数とか……際立った能力はないけど目立ちたい、どこにでもいる若者を思う存分観客に見せていました。そういう普通の若者だったら持ち得る心理があったからこそ、怪奇現象が危険な域まで起こっても引くに引けなくなって。そして最後まで生放送を辞めなかったわけで。
そういう意味では必要なシーンですがちょっと冗長な感じがしてしまったのは私だけでしょうか?早くホラー展開になってくれ……と思ってしまいました笑
一行はいよいよ病院へ潜入。磁場の話をしたり、カメラの話をしたり…オカルトマニアあるあるというか、オカルト番組を見てきた人々には「あるある・・・」と思わせる説明がされます。なんとなく浮足立っている彼ら。冗談をいったり、はしゃいだり…なんとなく罰当たりな感じがすごい…
第一の怪奇現象。院長室のドアが大きな音を立てて勝手に締まります。
これ、普通に音でびっくりした。笑
ホラー番組でよくある「幽霊からの警告と思われる」シーンです。なぜ「思われる」にしたのかは、このあと後述します。その後、院長と患者たちの写真を見つけますが、この写真がちょっと嘘くさい……変に解像度が高すぎるんですよね笑
めっちゃ最近の写真をモノクロ加工したみたいな…
その後は人の髪が天井から流れ落ちてきたり。(これ、誰もツッコまなかったけど結構怖くない???)
視聴者数はどんどん増え、待機所で様子を観察しながら指示を出している隊長はガッツポーズ。きっと生配信している方も、こんな感じで回るカウンターに一喜一憂しながら配信しているんでしょうね。
そして第二の怪奇現象。彼らは降霊術を試みます。そうすると天井に張り巡らされている鈴付きのひもが一斉に揺れだします。一行パニック。
しかし、放送は続行宣言。おのおのほかの持ち場に向かう中、進行役と隊長だけになります。なんとここでとんでもない事実が。
今までの怪奇現象は「ヤラセ」だったのです。
視聴者数を稼ぐために仕掛けを施し、何も知らない参加者を驚かせ、心霊現象が起きていると思わせるようにしていました。また今後はリアクションの良い人物にわざと焦点をあててより盛り上げようという相談までします。
とんでもねぇ。でも、「ヤラセ」なんてこんなものかもしれません。
しかし、そんな相談中、鈴が一つだけ揺れますが彼らは気づきませんでした。
これが恐怖の始まりだったのです。
その後様々な怪奇現象に見舞われますが、どんどん仕込みではない怪奇現象が起き始めます。隊長のテントの電気がひとりでに消えたり、ガスコンロの火が付いたり。パソコンの画面が乱れたり。
どうにも降霊術は成功してしまったようです。
潜入している彼らもだんだんパニックを起こします。
「これはヤラセなのか?」「それとも本当に怪奇現象なのか?」がだんだんわからなくなってきます。もうやめたい参加者、撮影を続けたい配信者で仲間割れを起こします。
「参加者の腕が箱に引っ張られ爪痕が残る」というヤラセじゃない怪奇現象が起きた時に、配信者側が呆然としているのがよかったです。予測できないことが起こると人ってフリーズするよね。
ここで一番「なるほど~!」と思ったのが、撮影トリックです。
登場人物以外が撮っているような映像が撮れていることに編集している隊長は気づきます。このシーンは主観映像の性質を上手に活用しているなと。私は隊長が確認するまでそれに気づいていませんでした。
参加者の一部はもう外に出ると外に出ます。こいつらは廃人になりながらも助かるのかな…と思っていました…(特大死亡フラグ)
一方、潜入している配信者たちは辞めない隊長にイライラし始めますが、価格交渉を行って取り分を吊り上げ、続行することを決めます。
後半20分は驚異の怪異ボスラッシュ
人の形をした異形のものが出てくるところがめちゃくちゃ怖かったですね。
人っぽいのに、動き方は人っぽくない。映像が少し暗いのと、視点に合わせてカメラが動くので、わざと画面から切れたりするからより怖い。あの緊張感の作り方はめっちゃよかったです。
次々、一行は怪異に襲われ、病院の闇の中へ取り込まれていきました。
そしてエンディング直前。我々は最後の恐怖に落とされます。
生中継画面が映し出されますが、そのコメントに「生中継と聞いていたのに放送しないのか?」と書かれています…
なんと、初めからこの放送は行われていませんでした。
つまり、視聴者がどんどん増えていく様子も、次々映し出されていたコメントも、反応も全て怪異が見せていた幻だったのです。
この視聴者の増加も反応もなければ彼らの探索がエスカレートすることはなかったのに、それさえも怪異による幻であったと。最初から破滅に向かう結末が用意されていた、というのが怖いですね。
昔のオカルト番組をよく見ていたり、youtyuber企画の動画なんかを観ていた方は「あ~あるある…」みたいな場面が多い、そんな映画です。
意味を考える、というより画面の恐怖を体感することができる映画なので、そんなホラーが見たい方はぜひ…